五十嵐裕貴さんの個展、開催中です。
今日は彼の作品の大きな特徴である色「黒」について書きたいと思います。
以前の作品は素地のままのものもありましたが、今回の個展は全て墨で染められた黒の作品でした。
素地のままの木の大きな魅力は、やはり木目。視覚的に木目は美しく、自然と目がいってしまうものです。
勿論それも木という材料の大きな魅力なのは間違いありません。
ですが、今の五十嵐さんの考えは少し木目から離れみようというものだそうです。
木も100年も生きていると、台風に合ったり虫に食われたり、様々な困難が起こり死んでしまいそうなことがあります。
材木になった後も、チェーンソーで切られ、水分が抜けて乾燥による割れが起こる。
最終的に彼の手によって作品となった木には、割れや穴、チェーンソーで切られた痕でさえ見ることができます。
魅力的な部分、美しくて当然のものから一度視線をそらし、本来少し目を背けたり隠してしまいたいような部分にも目をやり愛してほしい。
一度、黒く塗りつぶし視覚から木目を消してしまうことで、それらと向き合ってほしいという気持ちがそこにあるのです。
「黒」には、そのような思いが込められています。
そして、その色が偶然格好良かったということ。
現在彼が向き合っているもの、皆さんに向き合って欲しいものが、今のフェーズを脱する時、違う姿の作品になるかもしれません。私達はそれも楽しみに待ちたいですね。
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五十嵐裕貴 個展
2017年3月18日(土)〜26日(日) 13時-19時営業
会期中休業日:21日(火)
作家在廊日:18日(土)・19日(日)
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